何よりも新セットリストを待望する

もはや全員揃うことのないチームAは、チームと呼べなくなっている。AKB48の屋台骨がこのような状態では、AKB48そのもののあちこちに歪みや軋みが出るのも、さもありなん、という話だろう。そもそも、現状のチームA4thリバイバルが、研究生A4th公演と比べられる状況は、誰にとっても幸せな状況ではないはずだ。研究生の代役で何とか保たせているチームA公演と、追いつけ追い越せと、固定メンバーの強みを活かせる研究生公演では、明らかにチームAの分が悪い。事実、A4thリバイバルの反省からか、K4thは、代役をメンバー間で補う方法が採られた。研究生の代役乱発は、結果的にチームとしてのまとまりを欠き、チーム制の崩壊に繋がるという危惧からだろう。

ただし、現状でのチーム制解体は、誰も望んでいない結果をもたらす可能性がある。秋元プロデューサーが執心している「ゆり・ばら組制」の機は、チームK4th立ち上げのタイミングを見ても、おそらくまだ熟していないと考えているはずだ。しかし、どのチームにとっても、昇格組を含めた研究生の存在は、困ったことに、もはやチームのカンフル剤ではなくなっている。メンバーも我々も、良くも悪くも「慣れて」しまったのだ。昇格した研究生の中にも、正式メンバーになれたらゴールという、ある種の燃え尽き症候群を感じさせる者もいるし、研究生の身であったほうが「美味しかった」ことに気付いた弊害が出ている者もいる。これは予定外のことだろう。チームの正式メンバーと一介の研究生の境界が、一貫しない方針によってぼやけているせいだ。セットリストの途中で昇格した研究生が、そのセットリストでは中途半端な位置に追いやられるという構造的な問題も放置されている。さらには、チーム所属のメンバーが増えた研究生公演は、その看板を掲げるのに無理がでてきた、という指摘もできよう。研究生をやり繰りして何とかなるという段階は、すでに終わったのだ。

だから、何よりも新しいセットリストを待望したい。ホールコンサートより、イベントより、新しいセットリストを待望したい。チームBには浦野後の展望を描くB4th、そしてチームAには年長組の卒業後を見越したA5thを。AKB48の抱える全ての問題を洗い出し、次の刷新に繋げられるのは、新しいセットリストをおいてほかにはない。そもそもAKB48は、その繰り返しで成長を遂げてきたのではないだろうか。AKB48の核となる劇場公演は、セットリストを中心に回っている。AKB48という独楽を、セットリストを中心に据えて、もう一度回してほしいのだ。全てはそれで、また安定して回りはじめるはずだ。

終わりが見えないマラソンほど、しんどいものはない。チームAにとっては、先頭を切って走っていたはずなのに、リバイバル公演をやることによって、周回遅れを走っている気分になっているかもしれない。もちろん、運営側もその危惧は重々に理解しているだろう。ただ、複雑になった関係各所の調整に手間取っている、それだけのことなのだろう。それも、近づいてきた新曲のリリースが、何らかの区切りになるはずだ。
楽観すれば、そのころにはA5thがはじまっているかもしれない。しかし、新セットリストへの切り替えは、早ければ早いほど効果的だったはずだ。公演が息切れする前に、ゴールに導いてやるべきだったのだ。今の状況を見ると、夏休み公演を2回にしてでも、新学期の開始とともに、新セットリストに移行するなどの措置が必要だったのではないか、とすら感じてしまう。
だから今は、何よりも新しいセットリストを待望したい。強くそう思っている。