研究生公演のこれから

前回のエントリーのすぐあとに、A5thの初日が発表された。待望していた新セットリストを、まずは素直に歓迎したい。その後、A4thリバイバル公演の千秋楽も発表され、いよいよ現実味を帯びたカウントダウンがはじまった。

そこで気になるのが、そのチームAのメンバーが出演を兼ねる、研究生公演の行方である。真っ当に考えれば、A5thは、前田敦子を従来通り中心に据え、若手の北原里英宮崎美穂を両脇で育てるセットリストになるだろう。大島麻衣篠田麻里子らメディア選抜組は、華やかなオプションとして、数週間に一度、公演に花を添えるような形になるはずだ。

そのようなチームA公演が増えれば、メンバーが兼任している研究生A4th公演は相対的に減るだろう。そもそも、チーム研究生の出発点が、チームA公演メンバーの代役、アンダーとして準備されたものであるなら、チームA5thがはじまれば、A4thではなくA5thセットリストを熟達しなければならない。A4thセットリストは過去のものとされるはずだ。
だから、新し物好きと公言する人たちが、SKE48に興味が移るタイミングを見計らって、研究生公演は実質終了という可能性もある。客やメンバーが「慣れる」ことを嫌う秋元プロデューサーは、唐突に見えるこうした決断を、しばしば行なってきた。また、彼女たちの年齢は「可愛がられる」と「愛される」、虚と実、似て非なるものものを勘違いしやすい年頃ともいえる。自分自身に向けられた声援がどのようなものなのか、温室のような研究生公演ではない場所で、学んでいく時期に移ったという考え方もできよう。

今まで通り研究生公演が続けられるとしたら、藤江、北原、宮崎ら昇格組が、A5thをこなしながらA4thセットリストに出演できる場合や、彼女らの代役が見つかった場合だろう。ただし、前者は出られたとして月1回くらいだろうし、日に日に忘れる過去の公演を演じさせるのは酷なことだ。後者に至っては、率直に言って台頭が見えてきていない状況だ。もっとも、昇格組が決まったあとの、残された研究生の物語は始まったばかり。中西優香も含めた昇格組の存在を越えていくのに、多くの時間を必要とするはずだから、現段階で期待するのは筋違いというものだろう。だが、公演の穴を埋める絆創膏として、B3rdとB4thの過渡期まで、新しい研究生を迎えて強行して続けられるという見方もできる。しかしそれも、井上奈瑠の卒業などで立て直しが必要なチームBの状況を考えると、遠い未来の話ではない。いずれにせよ、それらすべての流れが研究生公演の終了を示唆しているようにも思える。

一連の研究生公演が、一時的な需要を埋めるための小さな隙間に咲いた徒花で終わるのか。それは、この過酷な時期を経て、何かを掴んだ研究生がどう成長に繋げていくか、あるいはその姿を将来見せるかにかかっている。

研究生公演の魅力のひとつは、自分の中の力をもっと引き出そうと懸命にもがく、手探りで自らの壁を越えようとするその姿だ。我々はその挑戦に心が打たれるのであり、また短期間で驚くほど変貌する、魔法のような姿を目の当たりにして、心が揺さぶられるのだ。
もしかしたら、これだけ多くのチャンスに恵まれるのは、研究生にとって、この「今」だけなのかもしれない。だから、自分自身という「今」を、懸命に舞台で表現してほしい。研究生には無限の未来がある。しかし、研究生でいられる時間はそう長くはないのだから。